MotorSportsの日記

車、家、玩具、物欲の塊である筆者がこれまで買ったものの記録です。

ペットショップでネコを買った話

私がこれまで買った物の中で、"私の人生に少なからず影響を与えたもの"といえばたくさんありすぎて書ききれませんが、最も影響があったのではないか、と思うものは「猫」かもしれません。

生き物の猫のことです。
猫を物と言うと気分を害する人もいるかもしれませんが、ペットショップで猫を無料でもらうことはできないので、そこは勘弁してください。

猫との初めての出会いは遡ること十数年。
当時私は高校生で大学受験を控えた受験生でした。
高校の夏休みに友人たちと、とある大学のキャンパス見学に行った帰りのことです。
真夏でとっても暑い日でしたが、大学なのに周りにコンビニなんてなくてとにかく友人たちも私も汗だくでした。
そんなところに出くわしたのが、よく見るチェーン店のペットショップでした。
ペットショップの店内ならきっとクーラーが効いていて涼しいはず!という冷やかし全開でお店に入りました。

当時も今も私は動物が好きですが、それまで犬や猫を飼ったことはありませんでした。
そしてこの偶然立ち寄ったペットショップで出会った白い猫に恋をするのです。
ヒマラヤンという種類の綺麗な白い毛をした猫がケージに入れられていました。
そして私が猫に近づくなり、キラキラした目で私のことを見つめてきました。
まー、ペットショップの猫って愛想のいい子が多いんですけれど。
とにかく可愛いし、性格が凄く良さそうな綺麗なメスのヒマラヤンでした。
シールポイントと呼ばれる顔の真ん中と耳、手足の先、尾全体が黒っぽいチョコレート色をしていて、全身はホワイトの長毛種と呼ばれる毛の長い種類でした。
目は澄んだ水色で漫画にもよく出てくる高級感のある猫、と言えば分かりやすいでしょうか。

このヒマラヤンは生後5ヶ月とかそれぐらいだったと思います。
売れ残っているせいなのかどうかわかりませんが、他の生後3ヶ月前後の仔猫が10万円以上の値段だったのに、このヒマラヤンは39,000円というリーズナブルなお値段でした。
確かに他の仔猫と比べると体も一回り大きかったです。
それまで漠然と犬を飼いたい、とか猫を飼ってみたいと思ったことは何度もありましたが、真剣に猫を飼いたい、家族の一員になって欲しいと思ったのはこれが初めてでした。

後ろ髪を引かれる思いで家に帰ると早速、両親に相談しました。
ペットショップで見た猫を飼いたいんだ、と。
反対されるかもしれないと思っていました。
だから、猫を買うためのお金は自分で出すと言いました。
高校生にとって4万円は安い金額ではありませんが、到底手が届かない金額ということもありませんでした。
無理をすれば出せる金額でした。

すると意外なことに両親は"きちんと世話をできるなら飼ってもいい"とあっさり了承してくれました。
(今から思い返せば、高校生の息子があれほどの熱意を持って訴えれば普通は親も納得するだろうな、と。子を持ってみて改めて実感します。)
私は猫と暮らすために何が必要か、猫の飼育本を買って勉強しました。
肝心の猫は週末に両親と一緒に買いに行こう、ということで週末まで待つことにしました。
それはもう、わくわくどきどきで。

ついにやって来た週末の朝。
たぶん土曜日だったと思います。
ペットショップの開店と同時に可愛いヒマラヤンを求めて店内に入りました。
ところが、先週までヒマラヤンが入っていたケージは空っぽ。
あれ?
なんでだろう?
恐る恐る店員さんに聞いてみます。
結果、可愛いヒマラヤンは数日前に売れてしまったということが分かりました。
小さい男の子がいたく気に入って、家族の方と一緒に買って帰ったということでした。
私は、あの大きさになるまで売れなかったヒマラヤンがまさかこんなタイミングで売れてしまうなんて夢にも思っていませんでした。
頭の中では、"きっとあの猫も我が家の一員になりたいはず!"と、根拠のない確信のようなものを抱いていましたから。
本当にショックでした。
胸にぽっかり穴が空いてしまったような。
でも、これが縁というものかな、諦めよう、そう思って帰ろうとしたところ。

え!?猫ちゃん売れちゃったの!?それは残念だったね。
と言う母と父。
私は、もういいんだ、という心境でした。
予想外の事態はここからです。
この時、私の両親は猫を飼う気満々だったのです。
目的の猫がいないなら、他の猫を買えばいいじゃないかと言うのです。
これには私もびっくり。
猫を飼いたかったのは私だけじゃなかったようです。

その後、このペットショップで何匹か子猫ちゃんを見せてもらった後、さらに近所に系列店があってそこならヒマラヤンの子猫がいると聞いて、そちらのお店にも行きました。
私は落ち込んでいましたが、両親は大はしゃぎでした。
そしてその系列店にいた小さなメスのヒマラヤンが、私の父に猛アピールしたことで父はすっかりそのヒマラヤンが気に入ってしまい、この子猫を買って帰ることになりました。
店員さんに勧められて抱っこしたところ、このヒマラヤンは決して父から離れようとしなかったのです。

私が恋をした可愛い上品なヒマラヤンとは少し毛色も違うし、何より連れて帰ったヒマラヤンはとってもお転婆さんでした。
新しい家族が増えて我が家はすごく賑やかになりました。
それ以来、両親は猫にメロメロで、その後もずっと猫を飼い続けているくらいです。

私は猫を飼うことで動物とは普段どんなことを考え、何を思って行きているのか、を考えるようになりました。
簡単に言えば、動物は欲望に忠実で、でも人間みたいに嘘はつかないし、騙したりもしない、本当に純粋な生き方をしているんだ、ということを学ぶことが出来ました。

このことは猫に限ったことではなく、犬を見るときも、馬を見るときも、そして生まれたばかりの赤ん坊を見るときにも役立ちました。
なぜ赤ん坊は祝福されて生まれるのか、なぜ皆赤ん坊を見ると誰でも顔がほころぶのか。
それは本能的に赤ん坊というものが、かけがえのない純粋な存在だと理解しているからではないでしょうか。

私は猫という生き物を飼うことによって、動物の純粋さを知り、狡猾で浅はかだったそれまでの自分を恥じ、いつまでも美しい心を持った高潔な人間でありたいと考えるようになりました。
猫だって食い意地は張っているし、普段は呼んでも来ないし、たまに棚から落ちたりもするし、万能という訳ではありません。
でも猫の根っこの部分には澄み切った純粋な心があると知っているから全て許せてしまいます。
これから歳を重ねても、幾つになっても猫のような愛嬌のある人間でいたいと思います。
そして自分の子どもにも、勉強が出来なくても、運動が苦手でも、猫のように愛嬌のある人間になってもらえたらな、と思います。 

 

 

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